
地方移住のための情報誌「TURNS」で2年間ほど連載していたインタビューを採録しました。グローバル資本主義の終焉、少子高齢化による過疎化と限界集落化という現実を踏まえて、「地方移住・帰農・山河の回復」というオルタナティブについて提言をしております。
昨日うかがった話では、地方移住支援のためのある NPO の窓口を訪れた人は去年一年で 25,000 人、10 年前の 10 倍にのぼるそうです。半数以上が 20 代 30 代とのこと。
この趨勢はもう止まることがないでしょう。
アジア辺境論 これが日本の生きる道/集英社新書
姜尚中さんとの対談本です。世界の帝国化・中世化という文明史的転換点にあたって、東アジア世界はどう再編されるのか...というスケールの大きな(大風呂敷な)話を姜さんと二人でしました。厳密さはさておき、「話がでかい」という点では保証いたします。
聖地巡礼 コンティニュード/東京書籍
釈徹宗先生との連続企画「聖地巡礼」も回を重ねて四冊目。
「聖地巡礼ビギニング」「ライジング」「リターンズ」とタイトルにいろいろ工夫してます。
大阪上町台地縦走から始まった聖地巡礼、京都異界巡り、三輪山、熊野詣で、長崎に隠れキリシタンの遺跡をたどる...と来て、今回は対馬に日本の宗教性の原型を探る、です。
このあとも「聖地巡礼」は羽黒三山、恐山と続いて国内篇はおしまいの予定です。
転換期を生きるきみたちへ(編著)/晶文社
中高生向けのアンソロジー。寄稿者は鷲田清一、高橋源一郎、加藤典洋、平川克美、小田嶋隆、白井聡、想田和弘、仲野徹、岡田憲治、山崎雅弘のみなさん。いま中高生に一番言いたいことを書いてもらいました。僕を入れて11人が「中高生の知的レベル」の設定が全員微妙に違うのが面白いです。
困難な結婚/アルテスパブリッシング
今年の出版物のうちの唯一の「書き下ろし単著」。筐底に眠っていた旧稿の埃をはらって全面的に書き換えました。結婚したい人はしたくなり、結婚している人は日々が楽しくなるという画期的な結婚論です。こんな本空前絶後です。
内田樹の生存戦略/自由国民社
『GQ』に連載されていた人生相談コラムを単行本化しました。
相談者がほぼ全員男性なので、相談者が女性であった『困難な結婚』と比較すると回答が「わりと冷ややか」です。だって「そんなこと訊いてどうすんのよ」というような質問が多いんですもの。
街場の五輪論/朝日文庫
平川克美・小田嶋隆との暴走鼎談の文庫化。ボーナストラックとして五輪醜聞がぞろぞろ出て来たあとに鼎談をもう一回やってそれをおまけに付けました。帯に「やっても地獄 やらなくても地獄」とありますが、これは編集者がつけた名コピーです。ほんとにそうだよな。
世界「最終」戦争論/集英社新書
姜尚中さんとの現代国際政治をめぐる対談。姜さんとお会いして話すのはこれがはじめてでしたけれど、話が合うんですよ。二人で「そうそう」と言い合っているうちにだんだん話頭は転々として奇を究め。
嘘みたいな本当の話 みどり/文春文庫
僕と高橋源一郎さんと二人でネットに投稿された「嘘みたいな本当の話」を何千篇か読んで選び出した珠玉の変な話集。ポール・オースターの『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』の日本版をねらったのですが、ロッド・サーリングの『トワイライト・ゾーン』の日本版みたいになってしまいました。
僕たちの居場所論/角川新書
平川克美・名越康文ご両人と「これほど無駄な話ってあるかしら」というくらい無駄な話を延々とした鼎談本。僕と平川君は「こんな無内容な話、本にならないよ」と太鼓判を捺したのですが、本になったのを読んでみたらこれがめっぽう面白く・・・
やっぱりあきらめられない民主主義/水声社
大田区議の奈須りえさんの主宰した集まりで、僕が講演して、平川君も入れて三人で鼎談したイベントの記録です。どこにゆくにも平川君と僕は一緒ですね。交替で腹話術師と人形を交互にやっているみたい。
教えて!校長先生 「才色兼備」が育つ神戸女学院の教え/中公新書ラクレ
神戸女学院の広報本(じゃないんだけれど、結果的には)。同窓会のお支えがあってたいへんよく売れました。共著者の林真理子さんはあの林真理子さんじゃなくて、中高部長の林先生です。僕はエッセイ2篇を寄稿しております。間違えて「あの林真理子と内田樹の対談本」と勘違いして買った人、けっこういるみたいです。
「意地悪」化する日本(福島みずほとの共著)/岩波書店
福島みずほさんと現代日本社会を覆い尽くそうとしている反知性主義と攻撃性の文化について話してみました。反知性主義に対しては「情理を尽くして語るという作法」を、攻撃性に対しては笑顔を向けるといいんじゃないでしょうかというお話をしております。
生存教室 ディストピアを生き抜くために(光岡英稔との共著)/集英社新書
光岡英稔先生からのご提案で、『暗殺教室』を素材にして、教育と武術について論じました。最初はマンガの話で一冊分も話すことがあるかな・・・とちょっと心配でしたけれど、非常に深い話になりました。中心になるテーマは「先生を殺す」です。
困難な成熟/夜間飛行
夜間飛行の井之上達矢くんの個人的な身の上相談にお答えしたもの。ふつう身の上相談は毎回違う人が質問をしてきますが、これは毎回同じ人。若者が離職し、結婚し、子どもができ、起業し・・・という過程で遭遇したそのつどの悩みにウチダが即答しております。どんな問いにも(答えを知らない問いにも)即答できるというウチダの特技が炸裂。
日本の反知性主義(赤坂真理、小田嶋隆、白井聡、想田和弘、高橋源一郎、仲野徹、名越康文、鷲田清一との共著)/晶文社
現代日本を蝕む反知性主義・反教養主義の歴史と意味について考察した共同研究です。難問をめぐっての知的格闘の記録となりました。
街場の戦争論/ミシマ社
なんだかんだとこの半年で出した本はぜんぶ「現代政治を論じる」という主題のものとなりました。それだけ政治状況が「危機的」ということなんでしょうね。
「もうすぐ戦争が起きる」と3年前に言ったらみんな笑って聞き流したでしょうけれど、いまは違います。
こんなに急に時代は変わってしまうんですね。
ぼくらの身体修行論(平尾剛との共著)/朝日新聞出版(朝日文庫)
平尾さんと7年前に出した『合気道とラグビーを貫くもの』の文庫化です。タイトル変わったので間違えて買わないでくださいね。でも、ボーナストラックで去年の夏にやった3時間の対談追加しましたから、両方買ってもだいじょうぶ。
街場の憂国会議/晶文社
高橋源一郎、平川克美、小田嶋隆、中島岳志、中野晃一、孫崎享、想田和弘、鷲田清一との共著。
先般の特定秘密保護法案の国会通過のあと、これを「民主制の危機」の徴候と感じた論客たちにお声がけをして安倍政権の本質についての論考をとりまとめました。
寄稿者たちの顔ぶれを見るとわかると思いますけれど、「濃い」です。
沈む日本を愛せますか?―文庫版/文春文庫
渋谷陽一さん主宰の政治誌『Sight』に連載されていた高橋源ちゃんと僕の「時事放談」。文庫化第一弾では2009年政権交代の前後にした話が収録されています。わずか5年間のことなのに、もう遠い昔のことのようです。震災と原発事故がある「前」の日本の風景と今の風景はまるで違うものであることに驚きます。あの事件は日本人にほんとうに深い傷を残したのですね。
日本の身体/新潮社
『考える人』に連載されていたインタビュー集が単行本になりました。多田宏先生、安田登さん、池上六朗先生、平尾剛さん、鶴澤寛也さんら多彩なインタビュイーとおもに「技術知」「身体知」をめぐって対話しております。担当は足立真穂さん、構成は橋本麻里ちゃん。このとき私がお二人を引き合わせたのでした。やがてここに青山さんをまじえたゴールデントライアングルが形成されることになることはそのときは知る由もなく。
街場の共同体論/潮出版社
雑誌『潮』で過去数年断続的に行ってきたインタビューや寄稿をまとめたもの。とはいいつつ例の如く原型をとどめぬまでに加筆したので、「ほぼ書き下ろし」です。家族論、学校論、師弟論などを展開しております。
街場の五輪論(平川克美・小田嶋隆との共著)/朝日新聞出版
東京五輪の招致がさっぱりうれしくない三人のおじさんたちが「だいたい 64 年の東京五輪からしてろくなものじゃなかったよ」という昔話から始めて、五輪というイベントの「いかがわしさ」について語ります。五輪めざして練習しているアスリートのみなさんには申し訳ないけど、このイベントいくらなんでも「政治」と「金」の匂いがきつすぎますよ。
一神教と国家(中田考との共著)/集英社新書
イスラーム学徒、放浪のグローバル無職ホームレス野良博士ラノベ作家、「カワユイ(^◇^)金貨の伝道師、みんなのカワユイ(^◇^)カリフ道家元であるところの中田考先生から一神教について、イスラームという教えとムスリムの生き方について、イスラームの政治について、そしてカリフ制再興についてたっぷりとお話を伺いました。
内田樹による内田樹/140B
著者自身による自作自註。素材は大学院の授業ですが、ほぼ全編書き下ろしになってしまいました。レヴィナスについての90頁は独立したレヴィナス論としてもお読み頂けます。
自分で言うのもあれですけれど、三回続けて繰り返し読んでしまいました。
街場の憂国論/晶文社
安藤聡さんエディットのコンピ本。今回は政治論集です。グローバリズムと国民国家、安倍内閣の「日本のシンガポール化」、そして維新の会の教育政策について・・・危機感に駆動された考察を行っております。
大人のいない国/文春文庫(鷲田清一先生との共著、2008 年の単行本の文庫化)
わっしいとの初対談の記録です。最初にお会いしたときはわっしいは阪大の副学長で、僕は KC の教務部長で、ふたりで「大学の管理職ってつらいですね・・・」とぐちって、それからわっしいと僕はお友だちになったのです。
今回はボーナストラックもついてお買い得です。
修業論/光文社新書
「修業」って、現代日本ではもう死語ですね。
でも、「修業」というのはそれを始めたときには自分がどこに向かっているかわからないのだけれど、気づいてみると「来るつもりのなかった(でも、来るべきだった)ところ」にたどりついているプロセスなんです。
「わざ」とは何か、「ブレークスルー」とは何かを考えている人たちにぜひ読んで欲しいです。
聖地巡礼ビギニング/東京書籍(釈徹宗先生との共著)
釈先生と凱風館巡礼部の諸君と歩いた聖地巡礼の記録です。
上町台地縦走から始まって、京都異界めぐり、三輪山登山の三部構成。
聖地巡礼はこのあとも続いて、熊野詣で(いまここ)、隠れキリシタン故地めぐり、佐渡に親鸞と世阿弥の霊感の源を探る、出羽三山で山伏さんに就いて修験道をプチ修業、恐山で異界との境界線に触れる・・・という展開を予定しております(あくまで予定ですけど)。
続編は『聖地巡礼アゲイン』、『聖地巡礼リターンズ』、『聖地巡礼フォーエバー』と続きます。
聖地巡礼ゴーズオン!
荒天の武学/集英社新書
「銃でもナイフでも、なんでもどうぞ」という桁外れに強い武道家と、「厭なことに一瞬も我慢できない弱い武道家」ウチダのトークセッションです。
話が噛み合っているところも、噛み合っていないところも、どちらも面白いですよ。
名越康文先生と西靖さんとの MBS の名物番組が活字化されました。
不定期に、放送時間外枠で、長さも毎回違い、スタジオでやったり、公開録音したり、好き放題の「辺境ラジオ」。
都市伝説となったあの「うめきた大仏」登場のエピソードなど満載。
九条どうでしょう/ちくま文庫
2006 年に出た「九条どうでしょう」は平川克美、小田嶋隆、町山智浩というエクスペンダブルズなメンバー勢揃いの憲法論でした。
6年経って読むと、憲法と安全保障をめぐる国内の議論がそのときからほとんど深まっていないことがよくわかります。
まずいですよね、これは。
それにしても、このメンバー濃いです。
ぼくの住まい論/新潮社
凱風館ができるまでの経緯を書きました。『芸術新潮』に連載していたものを改稿したものです。
写真図版がたくさん入っています。
光嶋裕介君の『みんなの家。』(アルテスパブリッシング)と併せて読むと、「施主」と「建築家」のそれぞれの立場から家が建つありさまが立体視できます。
両方買ってね。
街場の文体論/ミシマ社
2010 年秋から 2011 年冬にかけて神戸女学院大学での最後の講義「クリエイティブ・ライティング」の講義録です。
最終講義なので、めちゃテンション高いです。
書くとはどういうことか、読むとはどういうことか、言葉が生成的であるとはどういうことか、メッセージが届くとはどういうことかといった本質的な問いをがりがりと問い詰めております。
おなかを減らしたわんちゃんが骨をがりがり噛むような、「一度噛んだら離さない」的しつこさで言語と文学の問題に取り組んでおります。
ウチダの(たぶん)最後の文学論・言語論です。
日本の文脈/角川書店
同じ年齢の中沢新一さんとの 4 年間にわたるロング対談の集成。農本主義と帰農ムーブメント、アースダイビング、原発と宗教性などなど話頭は転々。
最後にふたりとも「これからはアナーキズムの時代だね」という大胆な結論に達するのでした。
街場の読書論/太田出版
ブログに書き散らした読書関連エッセイと、活字媒体に発表した文学と書物についてのエッセイのコンピレーション本。
1600円だけど、400頁あります。ずっしりすごい量。片手で持って電車で立ち読みしていると、上腕二頭筋が鍛えられます。
呪いの時代/新潮社
『新潮45』に不定期連載していた呪詛と贈与についての考察と原発事故をめぐる論考(荒ぶる神の鎮め方)を併せて一冊にまとめました。
日本の霊的再生と贈与経済の復活というあまり他に論じる人のいない(まあ、ふつう論じませんよね)トピックを集中的に論じています。
自分でいうのも何ですけど、たいへんに面白いです。
「おじさん」的思考/角川文庫
晶文社から9年前に出た単行本の文庫化です。
9年経って、この中の分析のどれくらいがまだリーダブルか、ぜひ手にとって吟味してみてください。
解説は平松洋子さんにお願いしました。
嘘みたいな本当の話/イースト・プレス
高橋源一郎さんと共同編集しました。日本版の National Story Project です。
日本全国の善男善女から、個人的に経験した『嘘みたいな本当の話』をお寄せいただき、
ふたりでセレクションしました。二人の選好が違うのが面白いです。
日本人はどのような物語に嗜癖するのか・・・というたいへん興味深い問題については、巻末で柴田元幸先生とじっくり対談しております。
SIGHT 2011年 08月号/ロッキング・オン
季刊政治誌の最新号のふたつの特集の両方で対談しています。ひとつはいつもの源ちゃんとの床屋政談。震災と原発の話です。それから平松邦夫大阪市長とポピュリズムについて。平松市長は11月の市長選に向けて、ついに橋下府知事批判を開始しました。僕は府知事の組織論と教育論に対する私見を述べております。
身体で考える。/マキノ出版
伝説のヨガ行者成瀬雅春先生との対談集。
最初にお会いしたのはもう 20 年ほど前、西宮北口の教会(KFCの角まがったところにある、あのどぶ川の横の)でした。
そのとき神戸女学院大学合気道会の学生諸君といっしょに、成瀬先生から倍音声明を直接教えて頂いたのでした。
それから幾星霜。
まさか先生とご一緒に本を出すことになるとは思いませんでした。
感慨無量です。
最終講義/技術評論社 (生きる技術!叢書)
神戸女学院大学の最終講義ほか、京大での「人文学に未来はあるか(あるといいけど)」講演や、めぐみ会での「北方領土はなぜ帰ってこないのか」講演(なぜ女子大の同窓会でそんな話を・・・)いろいろな講演が収録されています。
どんな講演でも、とりあえずまずは「聴衆を怒らせるような話」から始めずにはいられないウチダの業の深さが堪能できます。
それにしても、どの講演もマクラの長いこと長いこと。
ONE PIECE STRONG WORDS/集英社新書ビジュアル版
尾田栄一郎さんの国民的ベストセラーマンガ『Onepiece』から選んだ「名言集」です。
年末年始に61巻一気読みして、解説を書きました。
どうしてこのマンガがこんなに人気があるのか。その歴史的意味について大胆な仮説を展開してみました。
映画の構造分析―文庫版/文春文庫
2003 年に晶文社から出た単行本が、ようやく文庫化されました。
「映画はあんまり見ないし・・・」という方はタイトルだけで敬遠するかと思いますけど、
ダマされたと思って買ってみてください(620円だし)。
映画の本だと思って読んだら、なんとこれはフロイト精神分析の入門書でもあるんです。
フロイトがもう少し長生きしてハリウッド映画を見る機会があったら、「ああ、これぞ臨床例の宝庫だ」と涙ぐんだことでしょう。
そして、フロイト全集には『フロイト映画論集』が1巻入っていたはずです。
僕自身はジジェクの映画論を鈴木晶先生といっしょに訳しているときに書いた『秋刀魚の味』論と最終章の『アメリカン・ミソジニー』が気に入っています。『大脱走』論の3種の3人組という仮説についても、ぜひみなさんの感想をお聞きしたいです。
増補版・街場の中国論/ミシマ社
2007 年版「街場の中国論」に3年分の中国論を加筆しました。自分でいうのもなんですけど、たいそう面白いです。
ぜひ中国語に訳していただいて、中国の人に読んでほしいと思っています。中国人読者を想定して書かれた「中国本」て、ほんとにぜんぜん存在しませんからね。
沈む日本を愛せますか?/ロッキング・オン
高橋源一郎さんと雑誌『Sight』で渋谷陽一さんの司会で連載していた政治対談が単行本化されました。
最初の対談のときはまだ麻生首相のときでした。それから政権交代があって、普天間問題があって、小沢問題があって、菅政権になって、尖閣問題があって、北朝鮮の砲撃があって・・・といろんなことがありました。
そのつど勝手な未来予測をしていますが、これが意外に当たっていて、びっくり。
政治にぜんぜん門外漢のふたりの暴走トークをお楽しみください。
街場の大学論―文庫版/角川文庫
『狼少年のパラドクス』(朝日新聞社)の文庫化です。タイトル変わっているので、間違って二度買いしないでくださいね! 2000 年代にブログに書いた大学論をほぼ網羅しています。
文科省の杉野さんとの「リターンマッチ対談」がボーナストラックで付いてますので、お買い得。
もういちど村上春樹にご用心/アルテスパブリッシング
2007 年刊行の『村上春樹にご用心』の増補改訂(40%くらい新作)ヴァージョンです。
旧版を持っている人は「買おうかどうか」悩みどころですね。
とりあえず本屋で立ち読みしてから決めてください。
『1Q84』やエルサレムスピーチについてのものが収録されています。
武道的思考/筑摩選書
武道についての話と、違うことを考えているうちにいつのまにか武道の話になってしまった話と、武道の話をしているうちにいつのまにか違う話になってしまった話を集成したウチダ武道論のアンソロジーです。どっしり厚くて、読みでがあります。重量対価格比ではウチダ本のなかではたぶんいちばんかも(それって意味あるのかな)。
おせっかい教育論/140B
平松邦夫大阪市長と鷲田清一阪大総長を釈徹宗先生と私の『いきなりはじめるコンビ』が取り囲んでわいわい語る教育論。教育の本質はいやがる相手をはがいじめにしてむりやり教える『おせっかい』にあるという過激な教育論が展開されます。140Bの本が社運をかけている本なので、ぜひぜひ買ってください!中沢新一さんの帯文もナイスです。
街場のマンガ論/小学館クリエイティブ
これまで書いた全マンガ論集成。井上雄彦論から少女マンガ論まで。マンガの構造分析からボーイズラブ=反米ナショナリズム論まで、日本マンガへの熱いオマージュです。マンガ好きのみなさん、買ってね。
街場のメディア論/光文社新書
マスメディアの凋落はどこまで続くのか、活字中毒者は電子書籍を読むのか、著作権はつねに擁護されねばならないのか、ラジオはミドルメディアの中核を担うことになるのか・・・などなど、転換期にあるメディアというホットイシューを論じました。
現代霊性論/講談社
釈先生との共著、『現代霊性論』です。
装幀は・・・な、なんと井上雄彦さん。
ダメモトで頼んでみたら、ご快諾くださり、すばらしい作品を描いてくれました。
釈先生もぼくも井上さんの大ファンなので、これはほんとうにうれしいです。
というわけで、「ジャケ買い」もありの『現代霊性論』です(でも、表紙だけ剥がして中身捨てたりするの、なしですよ)。
『邪悪なものの鎮め方』に続きまして、「神さま仏さま」系のお話。
ひさしぶりに『いきなり始める浄土真宗』以来の釈先生とのセッション。
面白いよ。
邪悪なものの鎮め方/バジリコ
「邪悪なもの」についての学的考察。
考えてみたら「邪悪なもの」についての学術的考察って、あんまりないですね。
べつに「悪魔学」とか、そういうゴシックホラー的な話じゃありません。
私たちのふだんの生活にふつうに存在する「生きる知恵と力を(ちょっとずつ、ゆっくり)損なうものたち」
にどうやって対処するか、というお話です。
バカにできませんよ。そういうものが原因で命が失われることだってあります。
ですから、ある意味たいへんプラクティカルな本です。
「生き方本」というのはありますけれど、これはむしろ「犬死にしないための本」。
邪悪なものを祓うために必要な人間的資質は
「礼儀正しさ」「身体感度」「オープンマインド」の三つです。
どうしてそうなるのかは本書をお読みください。
東京ファイティングキッズ・リターン―文庫版/文春文庫
平川克美くんとのインターネット往復書簡を『ミーツ・リージョナル』に連載していたもの。
最初の想定読者が当時『ミーツ』の編集長だった江弘毅さんなので、なんとなく平川くんと江さんと三人でバーのカウンターでわいわいしゃべっているような雰囲気です。
実際に、そのバーの隣の席(『ミーツ』連載時の隣の頁)には鷲田清一先生と永江朗さんがいらして、その『てつがくこじんじゅぎょう』(バジリコで単行本化されました)には江さんと僕が「乱入」しています。
そのご縁で、鷲田先生に、胸の熱くなるような、すばらしい「解説」を書いていただきました。
下流志向/講談社文庫
2007年に講談社から単行本で出た『下流志向』が文庫化されました。
これは僕の本としては最大のセールスで、10万部を超えました(文庫ももう35000部出たそうです)。
こういう「硬い」教育論に13万人以上の読者がいるということが驚きです。
この本は08年には韓国語版が、そのあと台湾語版も出たはずです(違う本だったかな)。
東アジアのみなさんも同じ悩みをかかえているんですね。
下流志向―台湾語版
『下流志向』韓国語版に続いて、今度は台北で台湾語版が出ました。
東アジアのどの国も、「学ばない子ども、働かない若者」は共通の社会現象みたいですね。
ぜひこれを中国語(繁体字)で読みたいという人がいましたら、ご一報ください。
お送りします〜。
橋本治と内田樹/筑摩書房
橋本治先生との長時間対談の記録。もう3、4年前にたしか2回にわけてお茶の水の山の上ホテルでやったものです。
橋本先生のお話を私が拝聴するという趣向の本です。橋本先生のドライブ感あふれるトークを堪能できます。
橋本文学のヒミツについて、これだけつっこんだインタビューはたぶんはじめてのはずです。
街場の教育論/ミシマ社
2007年度の大学院の教育論演習の講義録を原型をとどめぬほどに加筆したもの。
去年は「教育再生」の政治的ムーブメントでかまびすしかったですね。
教育は熱く論じてはならないというのが私の教育論です。
できることならみなさん(政治家も官僚もメディアも)教育のことは忘れてくれませんか・・・というお願いの一冊。
日本 80 万の教員のみなさん!買ってね。読むと元気出ます。
昭和のエートス/バジリコ
いろんなメディアに寄稿したエッセイのアンソロジー。
共通テーマは「昭和回想」らしいです(安藤さんの趣味かな)。
巻頭の「私的昭和人論」と巻末の「アルジェリアの影」だけでも立ち読みしてくださいね。
14歳の子を持つ親たちへー台湾版
『14歳の子を持つ親たちへ』(名越康文との共著)の台湾版が出ました。
台湾のみなさん、読んでくださいね。
『下流志向』は韓国版が出ましたから、「こういう問題」はアジア共通なんですかね。
『村上春樹にご用心』ももうすぐ中国語版が出るみたいです。
困難な自由/エマニュエル・レヴィナス/国文社
国文社刊、4000円(!)
1985年に出たあと長らく絶版になっていたエマニュエル・レヴィナス先生の『困難な自由』が全訳で改訳されました。
ここまで来るのに10年かかってしまいました(仕事遅い!)
あれこれあって、一時は刊行を断念したのですが、なんとかかたちになりました。やれやれ。
出版社の営業は「どうせ売れないだろうから」ということで初版1000部、お値段4000円というあんまりな価格設定となりました。
たいへん高額なお買い物ではありますが、自信をもってお勧めします。
1979年にはじめて老師のこの本を読んだとき、十頁読んだところで「この人を人生の師匠としよう」と決意したくらいですから。
こんな日本でよかったね/バジリコ
女は何を欲望するか?/角川oneテーマ21
2002年に径書房から出た「女は何を欲望するか?」が角川新書でリイシューされます。
だいぶ加筆しているので、とりあえず2008年ヴァージョン。
フェミニズムの未来についての6年前の予言が当たっているかどうか。手にとってご検証くだされ。
ひとりでは生きられないのも芸のうち/文藝春秋
「ひとりで生きられる」ための能力開発に血道を上げていたら、個人の原子化がますます進行してしまいました。「ひとりでも生きられる」のは結構ですけれど、「ひとりでしか生きられない」というのは病気です。というわけで、21世紀の市民的課題はいかにして「誰とでも共生できる」ような人間を育てるか、ということに存するのではないかとウチダは考えるのであります。
『下流志向』韓国語版が出ました。著者名以外はぜんぜん読めないので、どんな翻訳なのかわかりません。でも、けっこう韓国でも話題になっているようです。向こうでもそうなんですかね〜。
村上春樹にご用心/アルテスパブリッシング
今回はありものタイトルを使ってみようと思って、「村上春樹でつかまえて」とか「村上春樹が止まらない」とか「村上春樹はまた昇る」とかいろいろ考えたのですが、これになりました。
「村上春樹にご用心」というタイトルはもちろん大瀧師匠の「あの娘にご用心」から本歌取りであります。
『冬ソナ』が実は複式夢幻能の構成になっていて、それが実は『羊をめぐる冒険』と説話論的に同型であるというような、ふつうの文芸評論家があんまり書かないような話ばかりです。
疲れすぎて眠れぬ夜のために/角川文庫
思えばこの本がヤマちゃんとの長いご縁の始まりでありました。今読むと「何言ってやがんの」的暴言失言が怒濤のごとくあふれていますけど。銀色夏生さんのほっこり解説付き。銀色夏生さんとグリルみやこでビーフカツレツを食べた話が出て来ます。
私の身体は頭がいい/文春文庫
文庫化にあたって岩波書店の「身体をめぐるレッスン」に寄稿した「複素的身体論」ほか、単行本刊行以後の身体論をまとめてボーナストラックとして収録しました。平尾剛さんの「熱い」解説付き。単行本持っている人も買わなくちゃね。
大人は愉しい/ちくま文庫
鈴木晶先生との「インターネット往復書簡」。これを書いているころはまだけっこうのんびりしていたし、お相手が人生を楽しむ達人鈴木先生なので、ゆるやかな「大人気分」が横溢している。今ではこういう穏やかな文章はもう書けない(泣)。
合気道とラグビーを貫くもの/朝日新書
甲南麻雀連盟総長と例会フルエントリーの"炎の雀士"が麻雀のあいまに合気道とラグビーについてワインを飲みながら語った、おっとこれはびっくりそうきたか対談。『私の身体は頭がいい』(文春からボーナストラック付きで文庫化)と併せて読むと、あなたは私がワンツースリーと言ったら、もう合気道をやらずにはいられなくなるいられなくなるいられなくなる・・・
街場の中国論/ミシマ社
逆立ち日本論/新潮選書
養老孟司先生との対談本です。養老先生が実際に話されたことの50%はくらいはカットされてますけれど、それは『不穏当すぎて活字にできない』からです。私の発言は100%採録されています。まだまだ修行が足りません。
狼少年のパラドクス/朝日新聞社
下流志向/講談社
東京ファイティングキッズ・リターンー悪い兄たちが帰ってきた/バジリコ
私家版・ユダヤ文化論/文春新書
子どもは判ってくれない/文春文庫
身体を通して時代を読む/バジリコ
態度が悪くてすみません/角川 One テーマ 21 新書
身体知/バジリコ
9条どうでしょう/毎日新聞社
知に働けば蔵が建つ/文藝春秋
街場のアメリカ論/NTT 出版
健全な肉体に狂気は宿る/角川 One テーマ 21 新書
身体の言い分/毎日新聞社
14歳の子どもを持つ親たちへ/新潮新書
『ユリイカ』 4月号 青土社
『ユリイカ』のブログ特集「ブログの作法」に一文を寄せる。
もちろん、私にブログについて語るだけの情報も見識もありはしないので、ネット・コミュニケーションとは「贈与に対する反対給付である」という、「いつものレヴィ=ストロース・ネタ」でまとめる。
困ったときのレヴィ=ストロース頼み。
そういえば、そのレヴィ=ストロース先生、96歳になって、まだ矍鑠としておられるそうである。
『文學界』 1月号ーX月号 文藝春秋 2005年1月ー
はじめたばかりの浄土真宗 (インターネット持仏堂 2)/本願寺出版社
いきなりはじめる浄土真宗 (インターネット持仏堂 1)/本願寺出版社
「讀賣新聞」
2月9日「やさしい言葉」
2月16日「『メトロポリス』型学校」
2月23日『危機管理の陥穽』
3月2日『』
図書新聞 2712号 2005年1月
橋本治『蝶のゆくえ』(集英社 2004)の書評。
橋本治の文体の「速度」を論じた。速度と物語の「肌理」の関係を論じたたぶん最初の書評じゃないかしら(ほかの橋本論を読んだことがないから知らないけど)。
God speed you はその昔の暴走族ブラック・エンペラーのドキュメンタリー映画のタイトル。「神の祝福があなたにありますように」の意。
「スピード」という英語の古義には「祝福する」という意味があったんですよ。
「ちくま」2月号 筑摩書房 2005年1月 橋本治さんとの「ちくまプリマー新書創刊記念」対談。
pp.6-12
橋本治大先生とはこのときはじめて山の上ホテルでお会いした。私にとっては20年来のアイドルであるから、最初は緊張しちゃって大変だった。うっかりして「桃尻娘」にサインしてもらうのを忘れてしまったぜ。
「波」 2月号 新潮社 2005年1月 pp.60-61
甲野先生と田中さんの共著、『身体から革命を起こす』の書評。
この本は私の名越本の担当でもある足立真穂さんの編集。
「黒澤明の映画術」をふまえて、甲野先生のとらえどころのない多彩な活動を「藪の中」的な証言によって構成している。
高橋佳三さんがこの中で展開している「野球批判」はずいぶん自主規制したらしい(オリジナルを読んだ指導教官から「お前、高野連を敵にまわす気か?」と問われたそうである)。まだ野球界で生きていきたいので、泣く泣くカットしたらしい。削除分が読みたいね。
スラヴォイ・ジジェク、河出書房新社 2005年1月 鈴木晶さんとの共訳。
ジジェクのEverything you always to know about Lacan but were afraid to ask Hitchcock 1992の全訳。どういうわけかまったく同一のタイトルの仏語版の本をジジェクは書いているけれど、内容は全く別もので重複しているテクストはない。変なの。
私が訳したのは、「運命の暗号」「第四の側面」「身体を持つことの不可能性」(ミシェル・シオン)と「ヒッチコック的サスペンス」「汚名」「皮膚と藁」(パスカル・ボニツェル)どちらも『カイエ・ドュ・シネマ』系のおしゃれな映画批評家。「第四の側面」はたいへんすぐれたヒッチコックのカメラワーク研究で、私はこれにはげしく触発されて(「まるっとパクって」ともいう)『映画の構造分析』の中のフーコー論を書かせていただいた。鈴木先生、シオンさん、メルシー!
筑摩プリマー新書 2005年1月
中高生向きの新書シリーズの一冊。日教組も文部科学省も自民党文教族も家庭教育も子供たちも・・・誰も批判しない教育論。じゃあ、何を批判してるんだと言われそうですけど、実は何も批判してないんですよ。「・・・論」て、かならず何かを批判しなきゃいけない、というほど不自由なものでもないでしょう?
ヒッチコック×ジジェク/河出書房新社
先生はえらい/ちくまプリマー新書 002
言語と文学/書肆心水
難波江和英・内田 樹 『現代思想のパフォーマンス』 光文社新書、2004年11月 1000円
ナバちゃんはソシュール、フーコー、サイード。ウチダはレヴィ=ストロース、バルト、ラカンの項を執筆。
現代思想のエッセンスをさらさらと解説した上で、「それをつかうとどういうことができるか」を実例つきでお見せしようという、至れり尽くせりの入門書。
ウチダのラカン論は「ラカンよりわかりやすい」とお墨付きをいただいたくらいである(当たり前か)
岩波応用倫理学講義 5 性/愛 (金井淑子編) 岩波書店 2004年11月6日
他者と死者−ラカンによるレヴィナス/海鳥社
東京ファイティングキッズ/柏書房
死と身体−コミュニケーションの磁場/医学書院
街場の現代思想/ NTT 出版
映画は死んだ 新版/いなほ書房
ためらいの倫理学/角川文庫
映画の構造分析/晶文社
私の身体は頭がいい—非中枢的身体論/新曜社